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ゴーヤ

UPDATED 2019.09.27 06:21

今回は沖縄が誇るスーパーフード、ゴーヤについてご紹介したいと思います。ゴーヤと言えば苦い味が特徴的ですが、実はこの苦味が血糖値を下げることと関係があることが分かってきました。  

・ゴーヤとは

ゴーヤはウリ科の植物で、この名前はもともと沖縄の方言による呼び方です。正式には苦瓜やツルレイシ(蔓茘枝) という和名が付いています。原産地は熱帯アジアで、日本へは中国を経て日本へ来たと言われています。

ゴーヤはその苦味や含まれる栄養素によって血糖値を下げる効果を期待されます。さらにその他の栄養素がとても豊富に含まれており、様々な面において私たちの健康をサポートしてくれるスーパーフードです。

・ゴーヤの苦味が血糖値を下げる?!

皆さんも一度は食べたことがあると思いますが、ゴーヤはとても苦い味をしています。

個人的にこのキツい苦味がクセになって夏になったら食べたくなりますが、実はこの苦味が血糖値を下げるインスリンの分泌と関係があることが最近の研究によって明らかになってきました。

ゴーヤの苦味の原因だと言われているのはモモルデシンという栄養成分です。このモモルデシンは数種類のサポニンと20種類のアミノ酸で構成され、様々な健康に良い効果があると言われています。

例えば、胃腸の状態を整え、食が進むようになったり、血圧を下げたり、そして血糖値を下げたりといったものが挙げられます。

そして、苦味は膵臓のβ細胞から「インスリンを分泌せよ!」という指令を出すホルモン放出の引き金になるということが分かってきました。

インスリンの分泌を促すホルモンをインクレチンと言います。このインクレチンは小腸に存在するL細胞から分泌されます。L細胞には苦味を感知する受容体があり、ここに苦味成分が結合するとインクレチン(GLP-1)が血中に放出されます。

そしてインクレチンが血液を辿って膵臓まで辿り着くと、β細胞から血糖値を下げるインスリンが分泌されるようになります。このように、苦味成分がインスリン分泌を促す重要な要因だということが分かります。

・糖尿病に対するゴーヤの臨床実験

ゴーヤは糖尿病を改善すると期待される食べ物として、様々な臨床実験が成されています。

ある実験では、糖尿病2型患者に2000mgのゴーヤのカプセルを与えたところ、4週間後にフルクトサミンの値が副作用なく下がったことが確認されました。

フルクトサミン(FRA)は最近2週間という短期間における平均的な血糖値が分かります。一方で、よく聞かれるヘモグロビン(HbA1c)は過去1ヶ月の血糖レベルの平均を確認することができます。

別のラットを用いた実験では、苦瓜がラットにおけるインスリン抵抗性を改善し、食後の血糖値上昇を抑えることが明らかにされています。また、苦瓜の抽出物はインスリン感受性と脂肪分解を高めることができることが示されています。

このようなゴーヤの血糖値を下げる効果は、ゴーヤに含まれるククルビタントリテルペノイドという栄養素によるものだと言われています。

ククルビタントリテルペノイドには血糖値を下げ、インスリン分泌活動の調節する効果があると言われています。

また、β細胞から血中に放出されたインスリンは、細胞の表面に存在する受容体に結合します。そうすると、糖分(グルコース)を細胞内に運ぶグルコーストランスポーター(GLUT)が細胞膜へと移動し、血液中のグルコースを細胞内に取り込みます。

ククルビタントリテルペノイドはこのグルコーストランスポーター(GLUT4)を通じて、筋肉や脂肪細胞内へのグルコース輸送を増加させることが分かっています。

・ゴーヤの豊富な栄養価

ゴーヤに含まれるビタミンCはレモンの約3倍、トマトの約5倍だと言われています。ビタミンCは老化を抑制する抗酸化物質として有名です。

その他、コラーゲンを生成を助ける働きを助けたり、メラニン色素の過剰生成を抑えたりします。健康的な肌のコンディションを保つにはビタミンCが欠かせません。

食物繊維も豊富で、セロリの約14倍含まれています。食物繊維は便秘改善に欠かせない栄養素です。それは人間は食物繊維を消化出来ないため腸に吸収されず、腸を通過していく過程で腸にたまった便を絡め取ってくれるからです。

カリウムは牛乳の約14倍含まれています。カリウムを摂取することは高血圧の予防対策になり得ます。カリウムを摂取すると、高血圧の原因のひとつである塩分(ナトリウム)が身体から排出されやすくなることが分かっています。

・まとめ

ゴーヤはウリ科の植物で沖縄が誇るスーパーフードです。ゴーヤに含まれる苦味成分がインクレチンを分泌を促し、その結果としてインスリンが血中に放出されるということが研究によって明らかになってきました。

人間やマウスを対象にしたゴーヤの臨床実験では、血糖値が抑えられることが確認されています。また、ゴーヤに含まれるククルビタントリテルペノイドには血糖値を下げる効能が多数あることが示されています。

そしてゴーヤにはビタミンC、食物繊維、そしてカリウムといった栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は健康な身体作りを様々な面でサポートしてくれます。

・参考文献

Lawrence Leung*, Richard Birtwhistle, Jyoti Kotecha, Susan Hannah and Sharon Cuthbertson. Anti-diabetic and hypoglycaemic effects of Momordica charantia (bitter melon): a mini review, British Journal of Nutrition, 2009, 102, 1703-1708

Paolo, Governa, Giulia Baini, Marco Biagi, et al. Phytotherapy in the Management of Diabetes: A Review, molecules, 2018, 23

Hung Pham, Hongxiang Hui, Stephan J. Pandol, Ravinder Abrol, et al. A bitter pill for type 2 diabetes? The activation of bitter taste receptor TAS2R38 can stimulate GLP-1 release from enteroendocrine L-cells. Biochemical and Biophysical Research Communications, 2016, 475, 295-300