今回はグルカットに含まれるスーパーフードの一つ、スピルリナについてご紹介します。
スピルリナなんて言葉、初めて聞いた方がいらっしゃるかもしれません。実はこのスピルリナ、栄養価抜群で血糖値を下げる効果が期待されるスーパーフードなんです。
スピルリナは暖かいアルカリ性の湖などで育つ微細藻類です。この名前はスピルリナの形状からラテン語でらせんを意味する「spira」に由来しています。
スピルリナの主な原産はメキシコ中部に位置するテスココ湖そしてチャド共和国のチャド湖です。スピルリナは昔からこの湖の近くに住む民族の重要な栄養素の供給源となっていました。
特に、サハラ砂漠に囲まれたチャド湖の近くに住むカムネ族にはスピルリナはとても重要なたんぱく質源でした。その理由は厳しい自然環境のため彼らは放牧や耕作ができない環境にあったためです。
カムネ族は長寿で知られており、フランス国立石油研究所のクレマン博士は、カムネ族の健康を支えるものとしてスピルリナに注目しました。
実際に、スピルリナはたんぱく質の吸収率が高く、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが他の食べ物よりも豊富に含まれています。
クレマン博士は人口の爆発的増化によって将来的に生じる食糧難を救うものとしてスピルリナに希望を感じました。
博士は1967年メキシコの微生物会議でスピルリナを紹介し、それからスピルリナが食用として注目を浴びてきました。
現在ではハワイ島の南部、カリフォルニア州、沖縄、中国、台湾、インドなどで栽培されており、世界中の人々の手に渡り健康を支えています。
スピルリナは豊富なたんぱく質、ビタミン、そしてミネラルの源です。この他、クロロフィル、フィコシアニン、必須脂肪酸、多糖類、そして非常に広範な抗酸化物質など驚くほどたくさんの栄養素が含まれています。
スピルリナの約70%はたんぱく質で構成されています。しかも、スピルリナは完全たんぱく質源であり、人間が体内で作ることのできない8種の必須アミノ酸と18種のアミノ酸を全て含んでいます。
スピルリナを摂取するだけで、様々な緑黄色野菜を摂取するのと同じくらいの栄養素を身体に取り入れることができると言えます。
スピルリナに含まれるクロロフィルとフィコシアニンは造血作用があり、貧血解消に良いと言われています。また、クロロフィルには体内の老廃物や毒素を排出するデトックス効果があります。
スピルリナは必須脂肪酸であるガンマ-リノレン酸(GLA)を多く含みます。ガンマ-リノレン酸は健康な神経系に必要な抗炎症作用を持ちます。
また必須脂肪酸は髪の毛の健康を維持するのに大切な栄養素であり、スピルリナを摂取することで皮膚と髪が強く、柔らかく、つややかになると言えます。実際に、知り合いの70代の男性はスピルリナを食べ始めたところ、3ヶ月目から黒い髪が生えてきました。
現在、健康を維持する上で注目を浴びてきているものとして抗酸化物質が挙げられます。スピルリナはこの抗酸化物質を含んでいることで有名です。
具体的にはベータカロテン、クロロフィル、ゼアキサンチン、スーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD)、そしてフィコシアニンといった抗酸化物質が挙げられます。
抗酸化物質はDNAに悪い影響を与えるフリーラジカルから守ってくれる役割を果たします。DNAが損傷することによって老化や病気が加速していまいます。
私たちの身の回りには放射線や有害な化学物質といった多くのフリーラジカルが存在し、健康を維持していくために抗酸化物質を常に摂取することが重要だと言えます。
スピルリナには血糖値を調節する重要な栄養素が多く含まれています。その中で、特にクロロフィルは糖尿病の改善に色々な形で重要な役割を果たしてくれます。
第一にクロロフィルは私たちの体に必要なミネラルの吸収を最大化してくれます。
クロム、亜鉛、そしてマンガンといったミネラルは血糖値の調節に欠かせなく、クロロフィルはこれらのミネラルを体内に多く取り入れるためにも重要な栄養素の一つです。
次に、クロロフィルは細胞の再生を促進する効果があります。これによって、偏った食生活によって大きく負荷がかかってしまった膵臓や肝臓の回復の促進を期待できます。
そして酸性に傾き、毒に侵され、様々な炎症によって損なわれた血液を元の健康な状態に戻す働きがあります。アルカリ性の湖で生息するというスピルリナの特徴が、ここで活きています。
クロロフィルの糖尿病患者に対する臨床実験も世界中の研究者によってなされています。例えば、糖尿病2型の患者がスピルリナを食事と一緒に食べたところ、血糖値が下がったということが報告されています。
また、スピルリナが中性脂肪そして悪玉コレステロール(LDL)を下げたり、動脈硬化指数を減少させたりする効果を持っていると示されています。これらの結果は、スピルリナが糖尿病2型の合併症を予防することが期待できると言えます。
スピルリナの正体、歴史、効果、そして糖尿病との関係に関してお伝えしてきました。いかがだったでしょうか?
スピルリナはアルカリ性の湖などで生息する微細藻類で、昔から厳しい環境下に住む民族の重要な栄養源でした。これからも世界中の人々の健康を支えるスーパーフードとして活躍していくことでしょう。
スピルリナにはたくさんの栄養素が豊富に含まれ、様々な面において人々の健康を貢献していくことが期待されます。
スピルリナには血糖値を調節する上で重要な栄養素であるクロロフィルが多く含まれています。またスピルリナが血糖値を下げたり、中性脂肪やコレステロール値を下げたりといったことが臨床実験を通じて報告されています。
・参考文献
Samuels R, Mani UV, and Nayak US. Hypocholesterolemic effect of spirulina in patients with hyperlipidemic nephrotic syndrome.. J. Medicinal Food., 2002, 5(2), 91-96.
Paul Pitchford. Healing with Whole Foods. North Atlantic Books, 2002
Zakir Khan, Pratiksha Bhadouria and P.S. Bisen. Nutritional and Therapeutic Potential of Spirulina. Current Pharmaceutical Biotechnology, 2005, 6, 373-379 スピルリナ研究所: http://www.spirulina.co.jp/spirulina/index.html