糖、美味しいですよね。
先日、コカ・コーラを一口だけ飲んだ時に、脳がとっさに「美味しい」と反応しました。
どうやら幼少期から味覚に刷り込まれているみたいです。
糖による疾患といえば、糖尿病があります。
糖尿病は生活習慣病の一つで、血糖値が高すぎるため、腎臓でのろ過許容量を越えてしまうため、尿に糖が出てしまうことから名付けられています。
日本人の糖尿病患者は推定1000万人以上にも及ぶと言われ、年々増加傾向にあります。
糖尿病が悪化すると様々な合併症を引き起こします。神経障害や、目の網膜症、腎臓の障害などです。また動脈硬化も進行させます。この動脈硬化は、心筋梗塞や、脳梗塞を引き起こす状態です。
糖は人間が生きていく上でなくてはならないものです。生命活動を維持するエネルギーの源です。
ひとくくりに糖といってもいろんな種類の糖があるのをご存知ですか?
単糖類のブドウ糖(グルコース)果糖(フルクトース)ガラクトース
二糖類の砂糖(スクロース)麦芽糖(マルトース)乳糖(ラクトース)
多糖類はでんぷんなど。糖質の中でも構造によって分類されます。
この構造がシンプルであればあるほど生体に早く吸収されます。複雑な多糖類は、消化に時間がかかるためゆっくり体内に吸収されます。
さらに、炭水化物というのは、糖質+食物繊維の総称で、パンとかご飯とか、麺類、イモ類等を指します。
食物繊維が多く含まれていればいるほど、もっと消化吸収のスピードは遅くなります。つまりは、おなじ量の糖を含む食べ物でも、「食べ物によって血糖値の上昇速度が全く違う」ということです。
一番シンプルな構造のブドウ糖を摂取した場合と繊維を多く含む大豆焼き菓子を食べた場合では、血中グルコースの変動値に大きな差が出ます。
例えば空腹時に砂糖がたくさん入った清涼飲料水や缶コーヒーを飲むと、糖分は即座に体内に取り込まれ、30分以内に血糖値は急上昇します。
血糖値の急激な上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、血管にダメージを与え、動脈硬化や糖尿病の合併症を進めやすくします。
また、急激に血糖値が上昇すると、膵臓から大量のインスリンが分泌されます。大量のインスリンは血糖を急激に下げるため身体のだるさや不快感を引き起こします。
インスリンが大量にまた長時間分泌され続けると体内でインスリンが効く仕組みが崩れていきます。インスリンが枯渇したり、効きが悪くなると、血糖値をコントロールできなくなってきます。
糖尿病の発症です。糖尿病は生活習慣病です。
食生活習慣をできるだけ早いうちに改善し、発症を予防する必要があります。
ではどのように改善・予防すればいいのでしょうか?
高血糖状態はなぜ怖いのでしょうか。
糖が全身の血管を傷つけてしまうからです。
通常、糖は血管から細胞に取り込まれてエネルギーに換わります。
しかし、血液中の糖分量が高すぎると、全て細胞に取り込まれず、活性酸素の発生を促します。
活性酸素は血管内膜を傷つけ、血管壁は固くなり、動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化は皆さんもご存知の通り、心臓や脳の梗塞を引き起こすリスクです。
また、目や腎臓、末梢神経の病気につながります。
現代の、医学が高度に発達した社会において、急性の疾患は多くの場合で治療が可能になってきています。
それに対し、現代の病気は、慢性疾患や生活習慣病で苦しむ方が増えています。
不規則な生活習慣が続き、一度健康のバランスが崩れきってしまうと、もとの健康な状態にもどるのは簡単なことではありません。
だからこそ、健康な状態の時から、自らの身体の状態をしっかり把握し、病気の予防に努めることは非常に重要なことなのです。
健康をつくる生活習慣の基礎は3つあります。
「食事」
「運動」
「睡眠」です。
その中でも
食事の重要性が一番大きなものとなっています。
「全ての慢性疾患の95% 以上が食事の選択、有害添加物、栄養不足によるものである」とまで言っている報告もあるくらいです。
では、急な高血糖状態を作り出さないために心がけるべき食事方法とはどのようなものなのでしょうか。
まず、第一にGI値の低い食べ物を摂ることです。(GI:グリセミック・インデックス)
GI値とは、食事により上昇する血糖値(血液中を流れる糖の濃度)の上がりやすさを数値化したものです。
GI値が高い食べ物を摂ると、血糖値が急上昇します。
血糖値が急上昇したのを体が検知し、血糖値を下げるホルモン「インスリン」をたくさん分泌します。
インスリンが過剰に分泌されると、過剰な血糖は脂肪に変えられます。
これは肥満の原因にも繋がります。
それとは反対に、GI値の低い食べ物を摂ると血糖値の上昇は緩やかにおきるため、インスリンは正常に働きます。
では低GI値食材とはどのような食材でしょうか?
低GI値食材を選ぶポイントは以下の3つです。
・精製されていないもの
砂糖、精白米、食パンなどの精製されている食品は、高GI値の傾向にあり、
玄米やライ麦パンのような未精製食品のほうがGI値は低いです。
・硬いもの
歯ごたえがあるものは、食物繊維を豊富に含んでいることが多く、糖の吸収が遅くなります。
糖の吸収が遅くなると、血糖値の上昇を防ぐことができます。
・甘くないもの
甘い=糖分です。GI値が高くなる傾向にあります。
具体的には、
乳製品、豆類全般、卵類、未精製の主食、肉・魚、野菜全般、フルーツ全般
は低GI食品です。
小腹が、空いたら、甘いシュークリームではなく、ナッツ類などを食べると良いと思います。
最近流行っている糖質制限は、理にかなっている健康法と言えます。 もちろん極端な制限は良くないですが。
ベジファーストという言葉があります。
野菜を最初に優先的に食べようという意味です。
野菜は食物繊維が豊富で、野菜を食べたあとに、炭水化物を食べると血糖の上昇が緩やかになります。
同じ食べ物を摂るにしても、食べる順番で血糖値の上昇度を抑えることができます。
たかが血糖値、されど血糖値。
個人的にはおかげさまで健康を維持できていますが、
最近、知人友人が糖尿病で苦労しているのを目の当たりにしました。
ある方は、一日中血糖値を測定しながら、ずっとインスリンを自分で射っています。
ある方は、糖尿病による壊疽で、足の小指を切断せざるをえなくなりました。
これを機に糖について、健康について、食生活について、見直したいと思いました。
生活習慣病の発症は、40-60代が多いですが、
それは定期的な健康診断を通して、または病院の受診を通して診断を受けるからです。
発症は40-60代でも、体の健康のバランスが崩れ始めるのは
実はもっと若い時期からです。
若い時期に、不規則な食生活や不摂生が募ると、年を重ねるごとに健康のバランスが大きく崩れていきます。 食の改善を通して、健康な体を維持していきましょう。