今回はグルカットに含まれるスーパーフードの一つ、菊芋についてご紹介します。
菊芋と聞いて、菊なの?芋なの?どっちなの?!と思われた方もいらっしゃると思います(笑)。実は、菊芋は芋ではないんです!
菊芋はキク科ヒマワリ属の多年草です。つまり、菊の仲間だったのです。原産は北アメリカで、外来種として世界中に分布しています。
芋類とは違い、でんぷん(糖質)はほとんど含んでいません。でんぷんを含む変わりに、菊芋は水溶性植物繊維である「イヌリン」という栄養素を約35~50パーセントほど含んでいます。
実は、このイヌリンは「天然のインスリン」と呼ばれており、血糖値を抑える効果があると言われています。では、なぜイヌリンが血糖値を改善できるような効果があるのかを見ていきたいと思います。
イヌリンの大きな特徴は水溶性植物繊維であるということです。イヌリンは腸内で水を吸収しネバネバとなったゲル状に変わり、腸内に溜まっていきます。これによって、一緒に摂取した糖質や脂肪の吸収を抑える働きがあります。
つまり、糖質の吸収が抑えられるので、これが血糖値を抑えることに繋がると言えるのです。
また糖尿病ラットに菊芋を食事とともに与えた臨床実験では、菊芋が血糖値を下げるインスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」が下がることが分かりました。
インスリン抵抗性が下がることによって、インスリンがより効果的に働くことができます。
また、菊芋が肝臓における中性脂肪の蓄積を減少させたということも示されています。この実験によって、菊芋が肥満、炎症、そして肝繊維症の治療そして糖尿病2型の予防に有効である可能性が示されました。
血糖値を抑えると言われているイヌリンは水溶性植物繊維であり、これが健康に様々な面で良い影響があるとことが分かっています。その理由として、粘性・吸着性・発酵性という水溶性植物繊維ならではの特徴が挙げられます。
水溶性植物繊維はネバネバとした粘着性があるため胃腸内をゆっくり移動します。そのため、お腹がすきにくく、食べ過ぎを防いでくれます。
そして、イヌリンと同じように糖質がゆっくりと吸収され、食後の急激な血糖値の上昇が抑えられます。
水溶性植物繊維はその吸着性のおかげで体内の余分なコレステロールや胆汁酸とくっつきます。水溶性植物繊維は体内には吸収されませんので、これらと一緒に体外に排泄されていきます。
また水溶性植物繊維が大腸で発酵・分解されると、腸内の善玉菌のエサとなります。イヌリンは腸内でフラクトオリゴ糖になり、ビフィズス菌のエサとなります。その結果、ビフィズス菌が増え、腸内環境が整えられます。
菊芋には血糖値を調節する働きのほか、美容やダイエットにも効果があると言われています。
イヌリンは食物繊維として腸内に溜まった老廃物を排泄し、腸内をキレイにしてくれます。また、イヌリンはビフィズス菌のエサとなり腸内環境を整え、そして便秘や下痢の改善に繋がることがあります。
腸内環境と皮膚とは密接な関係があることが分かっており、腸が整えられることにより、キレイな肌を得られると言えます。
また、腸内において水分を吸収したゲル状になったイヌリンは糖質や脂質の吸収を抑えます。そしてイヌリンはゆっくりと胃腸内を移動するため、満腹感を得られやすくなります。このため食べ過ぎを抑え、ダイエットに役立つと言えるでしょう。
菊芋は天然のインスリンと呼ばれるイヌリンを多く含むスーパーフードです。
イヌリンは水溶性植物繊維で、その特徴が腸において糖分を吸収するのを抑えてくれます。また、ラットの臨床実験において、菊芋がインスリン抵抗性を下げることが示されています。
水溶性食物繊維は血糖値の抑制、老廃物の排出、そして腸内環境を整えるといった効果があり、これらが美容やダイエットに役立つと言えます。
Wan-Ching Chang, Huijuan Jia, Wanping Aw, Kenji Sait, Sumio Hasegawa and Hisanori Kato. Beneficial effects of soluble dietary Jerusalem artichoke (Helianthus tuberosus) in the prevention of the onset of type 2 diabetes and non-alcoholic fatty liver disease in high-fructose diet-fed rats. British Journal of Nutrition, 2014, 112, 709-717
菊芋普及会:https://www.e-kikuimo.com/seibun.html
キニナル:https://kininal.me/inulin/