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東洋医学医師 食について語る②

UPDATED 2019.09.28 05:48

二つ目の「人生」という点ですが
食は私たちに自然と調和する生き方を教えてくれます。

こんなことを東洋医学を学ぶ前は一度も考えたことがなかったのですが
「陰陽」という宇宙に流れる原理が分かるようになったのがきっかけでした。

陰陽とは簡単に言ってみれば
火と水のようにお互いに反対の性質を持つもののことです。

東洋の哲学ではこの宇宙に存在するあらゆるものは
陰陽とに分かれていると考えています。

例えば
人間:男性(陽)と女性(陰)
動物:雄(陽)と雌(陰)
植物:雄しべ(陽)と雌しべ(陰)
原子:陽子(陽)と電子(陰)
気温:暑さ(陽)と寒さ(陰)
明るさ:(陽)と暗さ(陰)
季節:春・夏(陽)と秋・冬(陰)
などといったようにたくさんの例を挙げることができます。

そして陰陽の一番重要なポイントは
この反対の性質を持った陰陽が調和してバランスを取り合っている
という点です。

実は、この陰陽という考え方は私たちの食と生き方とに深く関わっているのです。

よく「旬のものを食べるのが良い」と聞きますが
これはそうすることによって自然と陰陽と調和して生きることができるからです。

例えば暑い夏にはキュウリ、トマト、ナス、ピーマンといった野菜が旬のものですよね。

実は、これらの夏野菜は体を冷やす性質があるのです。

熱くなる夏の時期には体内の熱を冷やす必要があるので
旬の夏野菜を食べることで身体のバランスが自然と整えられていきます。

逆に、冬の時期には根菜類や芋類などが旬ですが
これらの食べ物は身体を温める性質があります。

そして旬のものを食べることで
冷えた身体を温めることができ陰陽のバランスが取ることができるのです。

興味深いことに東洋医学の栄養学では
食べ物を体を暖める食べ物(陽)と身体を冷やす食べ物(陰)
に分けています。

また心臓や肝臓そして腎臓などといった内臓に気(エネルギー)を与える食べ物を
味や色などによって分けています。

季節ごとにある特定の臓器が良く働くようになるのですが
旬のものを食べることによってその臓器の働きをサポートしてくれます。

このように自然界と調和しながら生きることって大切なんだと
食べ物を通じて教えられているような感じがします。

三つ目の「愛」ですが
私は食べ物を通じてたくさんの愛を受けてきたと感じます。

例えば、幼い頃に遊び疲れてお腹がペコペコになり
「今日の晩御飯何だろう?楽しみだな〜」
と思って家に帰るのが待ち遠しかったです。

大学生時代に家を出て自炊し始めたときには
母の手料理をとても恋しがったのを覚えています。

久しぶりに実家に帰ってご飯を食べたときは
その美味しさに涙が出そうになるほどでした。

毎日作ってくれた母親の料理には
たくさんの愛が詰まっていたと感じた瞬間でした。

そして、今でも同じようなことが言えて
仕事終わりに思うことはいつも奥さんの手料理のことですね。

食は家族を繋いでくれるとても大切な役割を担っていると思います。

またアメリカに来たときにも
食べ物を通じてたくさんの友人を作ることができました。

実は、以前寿司屋でバイトをしていたことがあって
カウンター席の前で寿司を握っていました。

アメリカでは寿司は大人気で
たまに友達を集めて寿司パーティを開いています。

日本人が握ってくれた寿司を食べられるということで
みんなテンションが上がっています。

そんな雰囲気なので、あまり話したこともない人とも
簡単に打ち解けることができました。

このように食は人と人とを繋いでくれて
愛や友情を育んでいくきっかけになるものだと実感しています。

東洋医学医師 食について語る③に続く…